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葉山通信 |
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2014年6月・記
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「犬派」か「猫派」かと聞かれたら、私は迷わず「犬派」だと答えていた──今までは。
実は子供のころ、家の中にはいつも猫がいて、猫と一緒に育ったといってもいいくらい大好きだった。抱きあげて頬ずりすると、柔らかくてしなやかなあの毛並みが心地よくて、三人姉妹でよくうばいあったものだった(猫にはいい迷惑だったろう)。
大人になってから、犬と暮らしはじめ、猫にはない、あのテンションの高いエネルギーと、こちらの感情にも素直に反応してくれる、あまりにもまっすぐに向かってくる気持ちとかが愛しくて、参ってしまっていた。──猫との自由なつきあい方はすっかり忘れてしまっていたのだ。
今年の夏、サンフランシスコの友人宅に数ヵ月ほど滞在して、友人と7年も同居しているアメリカンショートヘアっぽい?雌猫と一緒に暮らすことになった。私はできるだけ、彼女と友好的に過ごしたいと思い、子供時代の猫の感触を思い出そうとした。……柔らかな手触りとしなやかな身体。ところが、彼女は私にあまり身体を触らせようとしない。抱きあげて頬ずりなどはもってのほか。仕方がないので、何とかこちらに敵意のない事を示そうと、ご飯をあげる係に立候補してみた。もちろん、ご飯をあげると機嫌がいい。こいつ悪い奴ではなさそうだ、と少し気も許してくれる。甘い声など出して催促もするようになる。満腹で眠っているときは、こっそり触ってもおかまいなしの様子だ──やった!! それからは、彼女がほしがるだけご飯をあげてご機嫌をとる毎日が続いた。
1ヶ月ほど経ったころだろうか。ある日突然気がついた。何やら顔が丸くなってきている!?
エジプトの猫の置物のようにしゃんと背筋を伸ばして坐っている美しい姿を真正面から見ると……、お腹のあたりが左右にぽっこりふくらんで来ているのだ!! これはすぐさま飼主の知るところとなり、私は友人にかなり叱られて、猫の食事量を制限する約束をさせられてしまった。
ところが、猫はそんなことは知らない。今までどおりによこせと言い張る。朝早く、友人がご飯をあげて仕事に出かけたすぐ後に、私に向かって「朝から何も食べていない! 飼主は私にご飯をくれなかった!」と泣きついてくる。
挙句に帰宅した友人には、「京子は一日中私にご飯をくれなかった! 何も食べていない、もう死にそうだ!」と泣きついていく。私のせいではあったが、毎日、毎晩ニャーニャーと訴えてくる彼女の悲痛な声に耳をふさぎ、可愛そうだったが、心を鬼にして、彼女の健康のためにご飯の量を守った。──次号、その2へ続く。
イツ編」でお会いしましょう!
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