葉山通信
2011年10月・記

 今回のお仕事の最終日、最後のホワイト修正を入れてペンを置いた瞬間、言いようのない寂しさに襲われました。
 「そうなんだ……私はもう、これから2度と生きているリリアナを描く事は無いんだ」
 ―― そう思うと、まるで、かけがえの無い家族との永遠の別れを経験しているような、なんとも言えない喪失感を感じてしまいました。
 30年を経て、描き続けて来たキャラクターは、私の中でいつのまにか実在し、その人生を生きて呼吸していたんですね(私の手が離れていた時でさえも……)。
 私と共に生き、共に感じ、共振してくれる「SWAN」の中のそんな彼らは、私にとって本当に特別な存在なのだとしみじみ感じています。
 これから先、真澄とレオンがどうなっていくのか……。
 それはもうすでに私の頭を離れ、彼ら自身が一人歩きして創り出した独自の未来を、私はただ、伝記作家のように描いていくだけなのかもしれませんね。
 ―― それも楽しい(笑)。
 「SWAN」のキャラクター達にいろんな形で想いを寄せて下さるすべての人にあらためて心からの感謝を送りたいと思います。

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