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葉山通信 |
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2011年1月・記
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昨年11月、モスクワ取材に行って来ました。
ドイツ取材より先に予定していたというのに、モスクワのテロ事件で延期を余儀なくされ、翌年はアイスランドの噴火による火山灰の影響で再び延期と、2年かかってやっと実現した34年ぶりのモスクワでした。SWAN連載中に訪れた厳冬のモスクワで、肌をさすような寒さや(マイナス20℃前後!?)吐く息のあまりの白さに驚き、ピンとはりつめた冷気の中に突然現れるロマノフ王朝時代の巨大で美しい建造物に感動したりと、―― そんなモスクワを再び期待していた私は、そのあまりの変化に驚いてしまいました。
モスクワは―― ヨーロッパの大都市の一つのようでした。まるでパリにいるようなブランド店の立ち並ぶ街角、おしゃれな服や靴のあふれるショーウィンドウ、街を闊歩するファッション最前線の若者達(あの頃デパートにすらほとんど品物が無かったのに……!!)、車の量や渋滞は常軌を逸し……遠い昔のソ連をある意味懐かしく思い出してしまいました。残念ながらボリショイ劇場は改築中で、2011年末頃まで観劇はもちろん内部見学も許されません。
それでも新劇場のけいこ場で団員達のクラスレッスンや、プリンシパルのリハーサルを一日中見学させてもらう事が出来たのは本当に好運でした。
その後、ボリショイ公演、岩田守弘さんの20周年記念公演を観劇、トレチャコフ美術館鑑賞など、またたく間に時間がすぎてしまうあわただしいスケージュールの中で特に印象的だったのは、モスクワ在住の舞踊家さんに連れていっていただいたG・ウラノワの家でした。当時の彼女の生活の様子が、そのままの状態で保存されていて、居心地よさそうな書斎や居間に、生前の彼女の息づかいすら感じられるようでした。
そして、山ほどのモスクワの資料や写真をかかえて帰国。まだ湯気の立っているようなあつあつの感動を、これから「SWAN モスクワ編」にどんどん反映していきたいと思っています。
「SWAN モスクワ編」は描いていてとても楽しいです。正直言って心身共に大変な作品ですが、だからこそやりがいがあると、一回一回身にしみながら(笑)大切に描いています。
楽しんでいただけたら、嬉しいです。
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