葉山通信
2006年6月・記

 数年前、街を歩いている時でしたが、突然、雑踏の中から現れてまっすぐこちらに向かって歩いてくる一人の女性の姿に見とれてしまいました。あきらかにクラシック・バレエをやっているとわかる、胸をはった凛とした歩き方、すっきりときれいにのびたスリムな四肢から、輝くよーなオーラを放ちながら・・・・・・。まわりの空気とまったく違うあのエネルギーの美しさ、見事さは、本当にすばらしかった!
 私の横を通りすぎて再び雑踏の中に消えていくまで、彼女から目を離すことが出来ませんでした。
 彼女はたぶんすでに名のあるダンサーだったのかも・・・・・・。でもかなり若い、十代後半?くらいの女性だったので、もしかして私は将来のスターダンサーを見たのかもしれないなァ・・・・・・と一人でニコニコしてしまいました。これはヴァルナのバレエ・コンクールで当時まだ17歳だったシルヴィ・ギエムの舞台を観た時にも感じたことですが・・・・・・やはり、何かに秀でた人の存在感ってすごい―と思います。他を惹きつけて離さない!舞台上の大勢のダンサーの中でどうしても目がいってしまう人っていますよね。あれです・・・・・・!
 これだけはテレビやビデオで観ても伝わってこない。そのダンサーのもつカリスマ性やオーラ、エネルギー!!生で観るしか感じることが出来ないというのはやっぱりすごいと思う。だからみんな舞台を観にいくんですね―。今、世界中にいる天才ダンサー達と同時代に生きて、その舞台を観ることが出来るということに感謝しつつ、私は今日も、締め切りの合間をぬって劇場に通っております!
 余談ですが、実はこの時、いつかバレエ漫画を描こうと構想をねっていた時だったので、「あれだ!」と彼女を見たことで、主人公のイメージが出来上がったというわけです。

平凡社のトップページへ | プライバシーポリシー | オンラインショップご注文方法